ネイリストとネイルモデルの、感動的なお話

この話は某コンテスト直前の、
ある夜の出来事の話です。

スクールに通っている人から電話があって、
予定していたモデルさんにアクシデントがあって、
このままではコンテストに出られるかどうかわからない。

この日のために頑張ってきたので、
何とか、モデルさんを紹介して欲しい、
こんな内容でした。

それで急遽モデルさんを集めて、
顔合せをすることにしましたが、
急なことなので、コンペモデルにふさわしい
ネイルベッドの長い、コンペ向きの
爪の持ち主を集める自信はありませんでした。

ところが予想はいい方に裏切られて、
素晴らしい爪の持ち主が、一人、来てくれました。

ネイリストさんも一目惚れをして
その場ですぐにスクールの先生と連絡を取って、
その足でスクールに連れて行きました。

そしてスクールの先生からも
OKが出ました。

そのネイリストさんは、
悪くても上位入賞を狙うと言っていましたから、
こちらとしても、急な話ではあったけれども、
モデルさんにも、頑張って欲しいと
祈るような気持ちでした。

ところが、その日の夜遅く、というより
ほとんど明け方近くになって、
そのネイリストさんからメールが入りました。

次のような内容の文面でした。

急な申し込みにもかかわらず、
素晴らしいモデルさんを紹介していただいて、
とても感謝しています。

新しいモデルさんで、コンテストを
頑張ろうと思いましたが、一晩考えました。

そのアクシデントのあったモデルさんとは、
長い間、コンテストのために
一緒に頑張ってケアをしてきました。

結果はだめかもしれないけれども、
やはり、そのモデルとコンテストに
出たいと思います。

いろいろお手数をおかけしました。
ありがとうございました。

そんな内容でした。

ちょっと残念でしたが、
そのネイリストさんが下した決断ですから、
頑張ってくださいと、返信しました。

それから何日かたって、そのネイリストさんから
連絡がありました。

アクシデントのあったモデルさんと、
コンテストに出たネイリストさんは、
結局ケアの部門で、入賞どころか優勝しました。

あの夜の決断は、苦渋の決断だったでしょう。

でもその決断に、ネイルの神様が、
微笑みを投げたのだと思いました。

コンテストは、ネイリストさんだけの
ものではないと、改めて感じました。

そのモデルさんの気持を考えると、
本当に辛かったろうと思います。

ずっと一緒に頑張ってきたのに、
直前になって、ふとしたことで
アクシデントに見舞われてしまった。

単純な不注意かもしれないけれども、
モデルさんにも生活がありますから、
モデルさんを責めるわけにもいきません。

この話を、顔合せに来るネイリストさんにすると、
皆さん、背筋が伸びます。

そのネイリストさんの決断が
人ごとでは、ないからでしょう。

ネイリストとネイルモデルの関係は、
細い綱渡りのようなものです。

でも覚悟さえあれば、最善の結果を
手にすることができるという実話です。

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